平成23年11月18日に、これを書いています。
長いのでアーカイヴの方に保存しておきます。
昨日、8年ほど前に作った、あるWebページを削除しました。内容はオリジナルグッズのデザイン製作を行っていた当時、全国誌4誌に掲載されたウチのヒット商品とほぼ同じデザイン、そして全く同じ名前の商品を販売していた会社を相手にメールでやり合った記録ページ。削除理由は、8年の時を経て、弁護士を通じて削除を求める警告書(私としてはこれは脅迫状だと感じています)が届いた為です。このページはどこからもリンクせずにサーバにあったもので、私自身存在を忘れていました。
ちなみに一口メモ。警告書そのものに強制力は無いです。要は内容次第で不服なら従わずにそこから示談なり申立なりの今後の展開が変わります。なので警告書という言葉自体、法に疎い人にだけ不利に働くトリックのようで私は嫌いです。
今回の件で2点、書き残しておきたいと思いまして。
まずひとつ目は、当時の我々はフリーのグッズデザイナーという立場で、ある会社の工房を間借りして、オリジナルデザイングッズを作りネットで売る商売をしていました。いわゆるインディーズです。当時の作り手達は総じて貧乏で、いつも忙しく仕事をしていました。大抵は若気の至りもあって、たまにできた余裕で飲み食いしてはまたギリギリ食いつなぐ、そんな繰り返しでした。しかし、だからこそ作品が出来た時、お客さんに喜んでもらった時のことを大きな糧に、みんなが頑張っていました。当時は景気が悪かった事もあり、我々がお世話になっていた工房の社長も資金繰りが立ち行かなくなり、家族がいながらも最悪の道を選んでしまったという悲しい事件もありました。
一方で例えば中国や東南アジアでは余所の商品を手に入れてバラして、パターンを丸写しするなんてことは当たり前のように行われているのを買い付けに行った時に実際に現場で見たこともありますし、日本でもわりと一般的だったりする現実を良く知っていました。8年前の件にしても、仲間内の怒りを全部私が引き受けた手前もあり、実際かなり厳しく追及はしていましたが、この業界の事情も分かるので実はある程度理解もしています。
とはいえやはり、当時貧乏でも頑張っていた仲間、亡くなった仲間の事を思うと、デザイナーが苦労して、思いを込めて作り出したモノを軽々しく扱ってはいけないと強く思います。これは相手側に限らず、関わる全ての人に、そして自分自身にも改めて言い聞かせたいと思います。
そしてふたつ目。
今回の先方弁護士の要求はWebに疎い内容でしたし、そもそもこちらは犯罪を犯していないので無視しても問題はありませんでした。先方にとってはセオリー通り、いい具合の手抜き加減で料金分をこなしたに過ぎないのでしょう。当然こちらも友人の弁護士やコンサルのアドバイスもありました。「このケースはこのタイミングで泣き寝入りがベスト。」その通りだし、私もそうしました。もう会社ですし、私も含め社員一同仕事と生活があるので、感情論だけで張り合う選択肢などないのです。
そういう暗黙の了解が働くうちはまだ良い方で。弁護士の仕事は大抵形骸化しています。通知書よりも警告書という題目の方が相手はビビる。代理人弁護士の連名人数が多いほど相手はビビる。日割り計算で賠償請求をほのめかせば相手はあせる。そういうタクティクスに満ちているのが私には禍々しく見えてなりません。悪質な弁護士に突然介入され、生活を壊された人が実は相当いて、本当にかわいそうな思いをしている現実もあります。