【蔵元web】二つの転機

一つ目の転機はネット交流。いろんな人の話を聞ける機会が何度かあったんですが、こんなセリフを聞いたんです。

「どんな言い訳しようと、どんな理屈こねようと、ボってることに変わりないんです。」

まぁこれは商品に付加価値つけて高値をつけるみたいな話だったと思うんですが(あくまで私がそう受け取っただけです)

たぶん他の人には何てことない話だと思います。でもそこで私は結構ハッとしたんです。

「自分が広告業界でやってきたことは理屈こねてボッタくってきただけだな。」と。

いや、それは元々わかってたことでした。

この話を聞いた時、

「あぁ、やっぱそう思っていいんだ。口に出していいんだ。」とふと思ったんです。

それからはなんとなしに

「やりたいことを探すより、やらなきゃいけないことを探そう。」

と思うようになりました。

ちなみにこの言葉をくれた方にはとても感謝の気持ちを持ってます。いつか直接お礼を言いたいなと。でもきっと、なんの話でしたっけ?といわれそうだけど。


二つ目の転機。

少しでも稼がないとなので、ビジネス系のセミナーの原稿書きみたいな仕事を受けてました。広告業界で働いてたので、ITとか、マーケティングとか、それ系のセミナーです。思い起こせば昔は大手通信会社相手にIT系のレクチャーメルマガを配信とかしてました。IT系の専門学校の臨時講師の話が来たこともありました。断ったけど。この手の話は日本酒関係の知り合いには言ったことないですかね、たぶん。まぁそんな風なキャリアと経歴があるということで。

で、ある原稿のテーマに目が止まったんです。

「これ、今の蔵元に必要なものなんじゃないだろうか?コロナ禍の今こそ。」と。

でも次の瞬間、「いやいやいや!」となったわけです。だって自分が忌み嫌っている業界の仕事ですから。

というか、この手の話と日本酒業界、この二つはもちろんずっと前から知ってる存在でしたが、二つを並べて考えたことはそういえば一切なかったです。決めつけもあったかな?蔵元にはこんなものは必要ない、と潜在的に思っていたのかも知れません。

やっぱりずっと引っ掛かっていて、結構な長期間に渡り、いろいろぼんやり考えていました。

まず感じたのは「成立しないなー。」ということ。いくら意義があっても回らなければ意味がない。

あと、嫌いなことを身が入らずにやっても、かえって失礼になるだけでしょ?とか、いやでもこの期に及んで気が乗らない仕事はやらないとかただのわがままだよね?とか。ずっと、ぐるぐると考えてました。

ただまぁ、ずっとそのことばかり考えている時点で、やらなきゃいけないと感じてはいたんだと思います。

デザインは好きだったからSAKEMARKにはすんなり入っていけた。広告の仕事は嫌いだけど、今の蔵元、特に小規模なところはやるべきだこれは。嫌いだからやらないの?できるのにやらない、それでいいの?自分。って感じでじわじわと考えを固めて行きました。


とはいえ。

いざやろうと考え始めると難問だらけ。どこをどう切り込んでも成り立つ目処が立たない。

なるほどなぁ、そりゃ浸透しないわ。ブルーオーシャンじゃなくて、レッドでもなくて、荒地って感じなのね。

でもそんな状況も、一旦俯瞰してみるととてもシンプルな答えが転がってました。

その答えを隠し持って何人かに相談してみたところ、案の定答えはみなさん一緒で「成り立たない。」

そりゃそうだよね。

つづく


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